木材危機は悩みのタネ。
2022.06.10 00:00
佐野支店 S・K
こんにちは。
毎年夏場に更新している佐野展示場の者です。
今回は住宅が欲しいと思っている方なら一度は聞いたことのある言葉。
「ウッドショック」についてのお話です。
ピークは過ぎたと言われていますが、以前住宅業界はその渦中にいます。
聞いたことはあるけどどういうもの?という方も多いと思いますので今回はウッドショックとはどういうものか、なぜ起きたかなどについて触れていきたいと思います。
一言でいうと「世界的な木材価格の高騰」のことをウッドショックと言います。
オイルショックの木材版ですね。
基本的に物価価格の高騰はその材料の需要に対して供給が追い付かなくなった際に起きます。
ちなみにウッドショックは過去2回起きています。
1回目は1990年。日本ではバブル崩壊の直前です。景気が良い日本では住宅はつくれば売れる状態でした。しかし、1991年では世界的な天然林の保護活動が活発化したことから木材の不足が起こりました。
2回目は2006年。この年は新興国や中国での木材消費が増えたことやインドネシアの伐採制限がトリガーとなり木材が不足しています。
そして今回のウッドショックは3回目。第3次ウッドショックと呼ばれています。
主な原因は世界的な木材需要の増加にあります。
世界各国で木造住宅が見直されている背景から、木材の需要が増えています。
特に日本に影響を与えているのは、アメリカと中国の住宅建設が活発化していることです。
アメリカはもともと広大な国土から自国での木材の生産数は多く、
日本の住宅木材の多くはアメリカから輸入したものです。
アメリカではコロナによるリモートワークの普及から郊外に住宅をもつ人が増加しており、その住宅に木材が多く使われています。自国で使用する量が増えたことで他国に輸出する量が減少傾向になっているのです。
一方、中国はコロナの影響で一時的に景気が下がっていましたが、他のどの国よりも早い回復を見せました。
その影響から住宅の需要が上がり、例年は自国の産出量で賄えていた木材も不足することになっています。
例年からの増加分は他国からの輸入に頼ることになります。
他にもウクライナ侵攻によるロシアからの木材輸入のストップ。欧州国でも木造の住宅が見直されていることも日本にとっては向かい風となっています。
日本への主な影響は木材の輸入量が激減していることです。
日本の木材輸入率は戦後から上がり続け現在で約6割。
元来、輸入材は価格が安定しており大量に仕入れることができることから、住宅の使用木材の多くは輸入材に頼っていました。
しかし、その木材がウッドショックの影響で減ってしまい需要に供給が追い付かず、問題が起こっているのです。
もちろん国内で生産している木材もありますが、低炭素化社会を背景にしたバイオマス発電などの燃料に用いられるなど、住宅業界以外で国産材が多く使用されている傾向にあります。
今回のウッドショックによって価格が高騰した際、日本のバイヤーは木材を大量に確保することはありませんでした。
それは戦後からの世界的な情勢を見ても木材の価格が長期的に高騰することはなかったこと、日本での直近4年間の住宅着工数が減少している(木材の需要が低下している)ことがあったからです。
しかし、アメリカや中国の予想以上の木材需要から価格高騰は長期化。
木材の物価指数は2021年9月にピークを迎えた時には2015年時と比べて2.75倍に上がっています。
そして現在でも価格は高止まりの状態を続けています。
急激な価格高騰とその長期化に対応できなかったことが日本の木材不足の原因と言えます。
島国である日本は木材を輸入しようとすれば海路を使うことになります。
木材を運ぶためのコンテナの生産量は中国が約9割を占めており、その中国もコロナの影響で生産量を縮小しました。
その後中国が一足早く景気を回復したことから、コンテナ生産量も元に戻るかと考えられていましたが2022年6月現在でもなかなか回復の兆しを見せません。
このようなコンテナ不足とそれに付随した海上輸送費の増加が木材価格高騰に影響を見せています。
ウッドショックの影響は住宅業界にも及んでいます。どこのメーカーでも価格の高騰や工期の延長などに頭を抱えている最中です。
石井工務店も例にもれず木材供給の調整のためにお客様に工事着工までのお時間をいただいている状態です。
今年に入って多少は改善されつつありますが、新規のお客様には物件の着工状況によってお時間をいただく場合がありますので詳しくはお近くの展示場までお問い合わせください。
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